ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



最初は、誰かの仕業なんて思うわけなくて。自分の不注意でどこかに忘れて置いてきてしまったんだろうと思っていた。


だから、あまり深く考えずに先生から予備の教科書を借りて過ごしていて。


その日から私は、前日の夜と当日の朝、今まで以上に念入りに時間割と持ち物をチェックしていたから。


数学の教科書も、昨日の夜と今日の朝、お家で確実にカバンに入れた記憶があるし、学校に来て引き出しに入れたのもちゃんと覚えているから。


疑惑がどんどん確信へと変わる。


「……誰かがやってんね」


めぐちゃんがいつもより低い声で呟く。


……ですよね。


「私らのクラスの誰かがってことだよね?」


ちーちゃんが睨みつけるような目で教室を見渡す。


恐れていたことが、起こってしまった。