ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。





「……すみませんでした。親子揃って恥ずかしいところ見せちゃって……」


ママの見送りが無事に終わり、愛菜さんの運転する車で今日からお世話になるとても立派な一軒家に着いて。


案内されたリビングのソファに座る前に、ペコッと頭を下げる。


最後にママと手を振り合ったとき、お互いに涙腺が爆発してしまって。


子供みたいに大泣きしてしまった。


あんなに泣いたのは……あ、広夢に振られたとき以来だから2年ぶり……かな。


あぁ、思い出してしまって心の中でため息をつく。こんなところでも思い出すなんて。


ブンブンと首を横に振ってかき消す。


もう、ママ、飛んでるんだよね……。


こんなに長い間ママと離れるなんて生まれて初めてだから。さっきは我慢できなかった。


「なに言ってるのよ〜初花ちゃん!全然恥ずかしくなんてないからっ!」


愛菜さんがトレイに乗せた紅茶とクッキーをローテーブルに置きながらそう言ってくれる。


ほんと……優しい人だ。