「──愛菜って言います。今日からよろしくね!初花ちゃん」
あっ……。
さっきの人たちのせいで、愛菜さんの自己紹介がちゃんと聞こえなかった。
まったく〜〜。
でも、聞こえなかったのは苗字だけ。
わざわざ聞き返すことでもないかな……。
あとでまたわかることだと思うし、時間もないし……。
「よ、よろしくお願いしますっ!!」
そう深く頭を下げれば「いつもお母さんから話を伺ってるわ」と優しい愛菜さんの声がして。
この方となら、3ヶ月うまくやっていけるかもって思えた。
「愛菜ちゃん、本当にありがとうね」
隣でママもそう言って何度も感謝の言葉を述べる。
私たちはママの出発の時間が来るまで色々と立ち話をして。
そうしていると、お別れの時間はすぐにやってきた。



