「織くんは、こういうの平気なの?」
「うん。でも、ちゃんと怖いよ。それよりもこんな怖いこと考えられる人がすごいなって思う。おもしろい」
「は、はあ……」
そんなことに感心する心の余裕は私には全くないよ。すごい。
「あとは、吊り橋効果……的な」
「えっ、吊り橋?」
「あ、ほら、白井さん、病院入るよ」
「えっ、わっ、もういいよ〜なんでこういうところにわざわざ入ろうとするかな!バッカだよ本当にっ!ああもうああもう……!」
織くんの話の続きを聞こうと思ったのに、映画にそれを阻止された。
息を呑んで薄目で映画を観る。
ええん、ほんと嫌だ……。
でも織くんが隣にいるのはすごく嬉しくて。
幸せなはずなのに……。
「……わっ、ちょっとまって。なんか、1人多くない?」
「……うん。エレベーター降りた瞬間からそうだよ」
「わああああ織くん気付いてたの?!うそうそうそ待って無理っ」
クッションを抱き抱えたまま、思わず織くんの腕にしがみついてしまう。