ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



「優しいのは愛菜さんの方ですよ」


そんな私の声に、愛菜さんが顔を上げる。


「ママだって、行きたかったから行ったんです。愛菜さんが、ママの気持ちに寄り添ってくれて、実際に、私の面倒を見てもいいって言ってくれたことも。言葉はかけられてもこうして行動に起こすってすごく大変なことだと思います。よく知らない子供を住まわせるなんて。だからすっごく感謝していますっ」


女で1つで私のこと育ててくれてたママに、きっといろんなこと我慢させていたと思う。


だから今回、ママのしたいことをこういう形で応援できていることもそれに愛菜さんが協力してくれたことも、私は嬉しいんだ。


「確かに、最初は正直、ママと離れて本当に大丈夫かなって不安でいっぱいだったけど、愛菜さんの優しさとか、すんごく美味しいご飯とか、素敵な笑顔とか、そういうのにたくさん触れて、お世話になったのが柳瀬家でよかったって心の底から思っています。私、めちゃくちゃ幸せものです!」


そう言うと、愛菜さんが目をうるうるさせたまま私の手を握る。