ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



「最初は、初花ちゃんにずっと申し訳なくて」


「へ……」


申し訳ない?


突然お世話になることになったのは私の方だから、申し訳ないと思うのは私の方なんだけど……。


「明子さんの出張、後押ししたのは私なのよ。明子さん、最初は全然乗り気じゃなくて。上司にもすぐに断るつもりで」


「……え、そうだったんですか?」


愛菜さんからまさかの話を聞いて少し驚いてしまう。


「うん。でも私が、こんなチャンス2度とないかもしれないんだからって。もし初花ちゃんが許すのなら、私が預かるからって。……初花ちゃんの気持ち、考えずに。私、勝手にふたりを引き離すようなこと……だから、本当はずっと罪悪感で苦しくて。なのに、初花ちゃん優しいから……私のためにここまでしてくれて、大好きなんて言ってくれてっ、」


とふたたび愛菜さんの目から涙が溢れ出す。


「愛菜さん……」


まさかずっとそんなことを考えていたなんて。


そりゃ、出張の話を聞かされた時は正直戸惑ったけれど……。


愛菜さんが私たちを引き離したっていうのは絶対に違う。