ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



「早く食べよう。ご飯も用意できてるから」


私たちを抱きしめたまま、愛菜さんがなかなか動かないから、織くんが声を出して席に座るように促す。


「はっ、そうね!って……ご飯まで?!」


そう。夕食も、織くんと一緒にハヤシライスを作ったんだ。


愛菜さんは「まぁ!」と目を見開いて、また溢れる涙を何度も拭いながら、「幸せすぎる」なんて笑ってくれた。


3人でご飯を食べ終わって、手作りケーキを食べながら。


愛菜さんが何度も、美味しい美味しいと褒めてくれたのでホッとした。


今度は2人で女子会も兼ねてお菓子作りをしようって提案してくれたりして。


想像しただけで楽しくてしょうがない。


そして、いよいよ、織くんが愛菜さんにプレゼントを渡す時間。


「……母さん、これ」


いつも私の前では『愛菜さん』呼びの織くんが、この瞬間だけ『母さん』と呼んだことに、胸が温かくなって母性本能がくすぐられてしまう。


なんだか、織くんがいつもより幼く見えて。


織くんがちょっと緊張しているようにも見えて、私までドキドキしちゃう。