ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。



「はい!織くんから、今日、愛菜さん誕生日だって聞いたので。日頃の感謝も込めて!」


「え〜〜そんなっ!ちょっと待って〜〜うそ〜〜」


愛菜さんがそう言いながら涙ぐむので、こっちまで目頭が熱くなってしまう。


「白井さんが提案してくれたんだ。ケーキも白井さんの手作り」


「あ、織くんと一緒に!」


織くんが目線をダイニングテーブルに移すと愛菜さんがさらに「えっ?!」と驚いた声を出しながら視線の先を辿って。


その瞳が私たちが作ったいちごの乗ったロールケーキを捉えると。


とうとう、愛菜さんの目からポロポロと涙が落ちてしまった。


「初花ちゃんっ」


っ!?


涙を流した愛菜さんが手を伸ばして、私と織くんを引き寄せてそのまま抱きしめた。


「ありがとうっ、本当に。すっごく嬉しい」


「いえっ」


愛菜さんの腕の中がすごく温かくて安心する。


今、ママとは離ればなれだけど、寂しくないのは確実に愛菜さんのおかげでもある。


喜んでもらえたみたいで本当によかった。