ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。






あれから数時間後。


織くんにされたことや発言が脳内でぐるぐるしていたけれど、時間は刻々とすぎていき。


準備がすっかり終わる頃には、完全に、このサプライズを成功させるぞってことで頭がいっぱいになっていた。


織くんと一緒に無事にバースデーケーキを完成させることができ、部屋の飾りつけもばっちり。


夜7時すぎ。


ガチャと玄関の扉が開く音がした。


「織くん、愛菜さん来たっ」


「うん」


私たちは小声で話して、用意していたクラッカーを手に持つ。


スリッパを履いて歩く愛菜さんのパタパタという足音がだんだん大きくなって。


私と織くんは目を合わせて頷く。


そして────。


「……ただい────」


「「愛菜さん、誕生日おめでとう〜!!」」


リビングに愛菜さんが見えた瞬間、大きな声でそう言って。


パンッ────。
パンッ────。


一緒にクラッカーを鳴らした。


「……えっ……!!」


クラッカーから飛び出した紙テープが舞う中、愛菜さんが口元を押さえて目を丸くしている。


何事だと、愛菜さんが部屋中を見渡して。


「びっくりしたっ、……これ……全部、ふたりだけで?」


ダイニングとリビングに飾られたバルーンや輪飾りを見て愛菜さんが呟く。