ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。






「え、ケーキ食べないの?」


「うん。小さい頃は食べてたんだけど。愛菜さんただでさえ仕事で疲れてるだろうから、そういうので負担かけるの申し訳なくて。小5の時だったかな、俺の方から来年はもうケーキいいよって言ったんだ」


「そうなんだ……」


電車と徒歩で30分。


この間みたいに学校の人に目撃されるのを避けるため、学校からかなり離れたショッピングモールに向けて電車で30分。


モールの中にあるイタリアンのお店でパスタを食べながら話す。


織くんと愛菜さんはお互いの誕生日にプレゼントをわたすみたいだけど、ケーキを食べたりはしないらしい。


うちはママと2人でお互いの誕生日にケーキを食べるのは必須だったから、食べないと聞いた時はちょっとびっくりしてしまったけど。


事情を聞いて、納得する。


優しいな……織くん。
愛菜さんが大変だってこと、小学生の頃から察して気遣えるなんて。


「でも、今考えたら、俺のためにやってくれてたことをあんな風に終わらせてしまったの、悪いことしたなって思ってて。……ちょっと、後悔してるかな」


力なく笑った後の織くんの表情があまりに哀しそうで、胸がギュッと締め付けられる。