「それ言うために、白井さん、わざわざ急いで上がってきたの?」
「へ……」
どうして、急いで来たことがバレているんだろうか。
呼吸はちゃんと整えて織くんの部屋のドアをノックしたつもりだ。
もしかして、無意識に鼻息荒かったとか?!
「階段、早くのぼる音聞こえたから」
「えっ、ま、マジですか、」
恥ずかしすぎる。
足音デカすぎて聞こえていたとか。
死ぬ。
「うん。賑やかで可愛かった」
となぜか嬉しそうににっこり微笑む織くん。
可愛いの使い方、ほんと間違ってるよ。
いっそ、家が揺れて恐怖を覚えた、ぐらい言ってもらいたい。
顔から火が出そうである。
いや、出そうではない、きっと出てる。
至急、私の顔面に誰か消化器を。



