「なんだ、その条件とは……」

「俺との離婚だ」

「えっ?」

「子宮全摘出の手術の後、大変な苦痛を味わったとのことだ」

「そうだったのか」

「俺に迷惑をかけたくないから離婚を申し出てきた」

「それなら別れてやれ」

「馬鹿言うな、お前の時みたいにちづるは姿をくらますぞ」

充は考え込んでいたように黙っていたがしばらくして口をひらいた。

「近々日本へ行く、ちづるの入院している病院をスマホに送ってくれ」

「わかった」

そしてスマホを切った。

今、充とちづるを会わせる事が得策とは思えないが、充の気持ちを考えると会わせることを拒否は出来なかった。

俺の中で不安な気持ちが大きくなった理由は、ちづるは俺との離婚を望んでいる。

俺を嫌いになったのではない、俺に迷惑をかけられないとの理由から離婚をのぞんでいるに違いない。

充を利用して、俺の前から姿を消そうと思っていたら、そう思うと、居ても立っても居られない気持ちが大きくなった。

毎日ちづるの病室へ足を運んだ。