人集りを見渡しても、どこにもカンナの親の姿は無い。警察官に促されて、人集りも少しずつ減ってきている。
「カンナの親は…。」
「たぶん、家に居ると思うよ。もしかしたら警察の人に事情聴取とかされてるかも。」
「でもカンナの…、カンナの…遺体は、警察署だろ。」
「検視って、遺族の人でも立ち会えないし、ついてもいけないんだって。」
愛する娘が突然死んだ。そんなこと受け入れられるはずがない。どういう状態だろうと今すぐ抱き締めて、傍に居たいだろうに、最期にそれも叶わないなんて。
「なんで…つばきがそんなこと知ってるんだよ。まるで見てたみたいに…。」
「見てたからだよ。目の前で。」
「は…?」
「カンナちゃんのおばさんもおじさんも、警察の人に止められて、一緒に警察署には行けなかったの。今は家で事情聴取されてるんじゃないかな…。おばさんもおじさんもすごく動転してたし、うまく喋れっこないのに…。可哀想…。」
頭の中がグルグルする。つばきが何を言っているのか分からない。なんでカンナのおじさんとおばさんが、警察官と話しているのを、つばきが目の前で見ているんだ?
「つばき…、お前…」
「私もね、事情聴取、受けたんだ。」
「え?」
「参考人として、お話聞かせてくださいって。カンナちゃんが死んじゃった現場の状況とか、何でこんなことになっちゃったのかとか、その時のカンナちゃんの様子とか。状況的に事故で間違いないだろうから、任意でお話聞かせて欲しいって言われたの。拒否も出来るらしいけど…拒否する理由がないしね。パトカーの中でちょこっとお話したんだ。カンナちゃんの検視の結果次第で、またお話してもらうかもって…言われちゃったけど。」
やけに饒舌なつばきに対して、違和感がムクムクと湧き上がる。初めから設定されていた台本を読んでいるみたいに、ずっと一緒だった幼馴染がほんの数時間前に死んだということが嘘みたいに、つばきは落ち着いている。
何だ…この違和感は。
「何でつばきが参考人になるんだよ…。まるで…。」
「第一発見者だから、だよ。ていうか、カンナちゃんが死んじゃう時、一緒に居たから。」
「は…。はは。何言ってんだよ。一緒に居たって…。」
「一緒に居たの。死んじゃう一秒前まで。」
「カンナの親は…。」
「たぶん、家に居ると思うよ。もしかしたら警察の人に事情聴取とかされてるかも。」
「でもカンナの…、カンナの…遺体は、警察署だろ。」
「検視って、遺族の人でも立ち会えないし、ついてもいけないんだって。」
愛する娘が突然死んだ。そんなこと受け入れられるはずがない。どういう状態だろうと今すぐ抱き締めて、傍に居たいだろうに、最期にそれも叶わないなんて。
「なんで…つばきがそんなこと知ってるんだよ。まるで見てたみたいに…。」
「見てたからだよ。目の前で。」
「は…?」
「カンナちゃんのおばさんもおじさんも、警察の人に止められて、一緒に警察署には行けなかったの。今は家で事情聴取されてるんじゃないかな…。おばさんもおじさんもすごく動転してたし、うまく喋れっこないのに…。可哀想…。」
頭の中がグルグルする。つばきが何を言っているのか分からない。なんでカンナのおじさんとおばさんが、警察官と話しているのを、つばきが目の前で見ているんだ?
「つばき…、お前…」
「私もね、事情聴取、受けたんだ。」
「え?」
「参考人として、お話聞かせてくださいって。カンナちゃんが死んじゃった現場の状況とか、何でこんなことになっちゃったのかとか、その時のカンナちゃんの様子とか。状況的に事故で間違いないだろうから、任意でお話聞かせて欲しいって言われたの。拒否も出来るらしいけど…拒否する理由がないしね。パトカーの中でちょこっとお話したんだ。カンナちゃんの検視の結果次第で、またお話してもらうかもって…言われちゃったけど。」
やけに饒舌なつばきに対して、違和感がムクムクと湧き上がる。初めから設定されていた台本を読んでいるみたいに、ずっと一緒だった幼馴染がほんの数時間前に死んだということが嘘みたいに、つばきは落ち着いている。
何だ…この違和感は。
「何でつばきが参考人になるんだよ…。まるで…。」
「第一発見者だから、だよ。ていうか、カンナちゃんが死んじゃう時、一緒に居たから。」
「は…。はは。何言ってんだよ。一緒に居たって…。」
「一緒に居たの。死んじゃう一秒前まで。」



