世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1





「何があったの、あかり」
「!」
「すげー心配なんだけど、嫌なら話さなくてもいいから。せめて顔だけ見せて」
「うぅ……やだぁ……」
「お願い。大丈夫だから」



 あかりは、総一郎に泣いていることがバレたのが誤算だった。


 あそこまで狂った人間に迫られ、名前まで呼ばれ、ショックで怖くてたまらなかったけど、それで総一郎へのお世話を怠るのは違うと思った。


 恐ろしく危機的な状況でも、自分のことは自分のことと、しっかり物事を分けて考え、自分一人で全て解決しようと部屋に篭ってみた。しかし、涙がどうしても止まらない。


 警察に連絡をし、祖父母の世話をしている両親や、田舎での学校生活に慣れようと頑張っている弟達に連絡が入って心配させるのも嫌だ。


 そして、何より一緒に住んでいる総一郎にも心配を掛けたくない。


 あかりは三つ子が生まれてから、何事にも他人優先自分は二の次に慣れていた。


 だから、誰にも頼らずにあの不審者を撃退するにはどうしたらいいのか、泣きながら頭を悩ませていた。


 なのに、総一郎にバレてしまった。


 総一郎が意識して優しく出した声に引っ張られるように、あかりは無意識にタオルケットから顔を出す。


 あかりの赤く腫れた可哀想な目とばちりと視線が合わさり、総一郎は息を呑んだ。