「……なんでだ」
ここで、あかりのことが好きだという答えに行き着けないのが、初恋童貞どころか恋愛小学一年生の総一郎である。顔はいいのに残念過ぎる。
どんなに頑張ってもあかりかわいいにしか行き着けず、持て余す気持ちで脳内がわちゃわちゃしてしまい、頭を掻きむしった。
総一郎が全てを自覚するのには、彼一人だと相当な時間を要することになるだろう。
総一郎は折角の美味しいチャーハンをおかわりもせず、偉いと褒められたいがために食器をきちんと洗い、風呂へと向かう。
しかし、廊下であかりの部屋の前を通り掛かった時──。
「……ぅっ……グスッ」
総一郎は思わず足を止めた。
そしてもう一度耳を澄ますと、部屋の中から鼻を啜る音と、可哀想なくらい弱々しい声聞こえた。
あかりが悲しんでる、あかりが泣いてる。体調がめちゃくちゃ悪いのかもしれない。総一郎は焦った。
そして、気付いた時にはあかりの部屋の扉を開け、ベッドの上でタオルケットに包まるあかりに近付き、その横に膝をついていた。
「あかり、なんで泣いてるの。苦しい? 熱ある?」



