まさか、お世話対象である総一郎から、自分のお世話の提案をされるとは。
あかりはお世話のエキスパートだが、とにかくお世話され慣れていない。
寧ろ、自分のことは自分でやるので、みんな健康にすくすく育ってと願う日々だ。
なので、あかりは総一郎からの提案に、力一杯首を横に振る。
「だ、大丈夫だよ! 総一郎くんはそんなことしなくていいんだよ! 明日も朝練あるんだから早く寝て!」
「無理。俺は今日あかりの髪の毛を乾かすと決めている」
「なんでそんな……私は大丈夫なのに」
「俺がしたい」
頑なに首を縦に振らないあかりに、総一郎はこんなはずでは……と内心困っていた。
あかりに髪の毛を乾かしてもらって、あまりの気持ち良さにいつの間にか眠りに落ち、気付いたら布団で朝を迎えていた。
人に髪の毛を触られるのは心地よい。
自分がここまで気持ちいいんだから、普段たくさんの気配りをしてくれるあかりの髪の毛を乾かしてあげたら、きっと喜んでくれると総一郎は思った。
しかし、目の前のあかりは完全拒否。だが、総一郎は引き下がる気はなかった。



