そしてあかりはソファーに腰を下ろし、見上げる総一郎に向かってにこりと笑う。



「総一郎くんの髪の毛、乾かしたいと思うんですが……触ってもいいかな?」
「……あかりがめんどくさくね?」
「そんなことない! ご褒美だよ!」
「え」
「お願い! 優しくするから!」



 優しくするから……優しくしてくれるのか……。


 あかりはいつも優しいのに、これ以上があるのか。


 必死に頼み込んでくるあかりに、総一郎は、あかりが優しくしてくれるなら髪の毛を乾かしてもらってもいいかな、と思い頷く。


 総一郎から許可を得たあかりは、ほくほくした嬉しそうな表情で、総一郎のタオルドライしただけの髪の毛に洗い流さないトリートメントを丁寧に揉み込む。


 髪の毛に触れられる気持ちよさと柑橘系のいい香りに、総一郎は身体の力を抜き、とてもリラックスした。



「ツヤツヤサラサラにしますね〜」
「……あかり美容室?」
「お客様、本日はどの様にいたしますか?」
「かっこよくしてください」
「かしこまりました。モテモテにしますね」
「モテモテのイケメンでおねがいします」
「誰もが振り向くモテモテスーパーイケメンにしますね」
「……やっぱり、店員さんがかっこいいと思うイケメンにしてください」
「まったくも〜、お客様はワガママですね」



 あかりは明るくノリがいいし、そのノリに合わせてみるとたくさんあかりと喋れる。しかも、あかりが楽しそうに笑うし、オマケに可愛いあかりまで見られる。一石二鳥以上だ。