「お願い総一郎くん、手を離さないで……」
「大丈夫、絶対離さない」
「怖いの、お願い、離れないでねっ……?」
「大丈夫。死んでも離れない」



 なんだあれは。なにを見せられているんだ。
 無心で隼也は白目を剥きそうになりながらも、ひたすら気配を消し、抜けてる二人のやりとりを遠目から見つめていた。


 二人の足元はローラースケート。
 現在総一郎とあかりと隼也は、スポーツアミューズメント施設に居る。


 あかりに関してはヘルメットだけでなく膝や肘にサポーターが嵌められている。
 必死に半泣きになりながらも、生まれたての子鹿のように総一郎にしがみつくあかりに、総一郎がまんざらでもない表情で悦っている。