泣ぐずりながらも顔を上げ、笑顔をこちらに向けるあかりを、総一郎は愛おしさを込めた視線で見つめ笑う。


 日付は気付けばあと一時間と少しで変わってしまう。
 総一郎はあかりを抱きしめたまま、口を開いた。



「あかり、明日は誕生日デートだから」
「え、なにそれ決定事項?」
「重大で、大切な決定事項」
「あはは、それなら守らなきゃ」
「あかりの誕生日、大切にお祝いしたい」



 総一郎は、あかりのまあるいおでこに薄い唇を寄せ、ボボッと赤くなったあかりに向けて美しく首を傾けた。



「楽しい誕生日にしよ?」
 



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