「おはよう、そーいちろーくん」
「……おまえだれ」
「あはは、元気なようで安心した。私日比野あかり。朝ご飯できてるよ」



 あかりは、散々世話してやった総一郎のふてぶてしさを気にも止めず、和室のカーテンを開け、朝日を部屋に入れる。


 総一郎は、突然目の前に現れた小さくてにこにこしている女に不信感を抱いていた。一体どうやって自分をここに連れ込んだのか、流石に聞いてからでないと信用できないと踏んだ。



「俺なんでここにいるんだ」
「え? うちの部屋の前で行き倒れてたから、おせ……助けた」
「たすけた」
「君、多分同じマンションに住んでるよね? 見たことあったから。多分階数間違えちゃったのかな」



 おせ、とはなんだ。そう思ったが、助けられたことにはしっくりきた。


 これまで総一郎は、眠さの限界で記憶を飛ばし、その辺で保護されることがあったからだ。