そして何とか総一郎を立ち上がらせ、そこに寝かせることに成功した。


 あかりはあまりの幸福に、歓喜の溜息を吐いた。



「幸せ過ぎる……」



 あかりの心は久々に満たされ、いそいそと食器を片付け自分もお風呂に向かった。


 あかりは抜けている。というより頭のネジがぶっ飛んでいる。


 この状況はどこの誰が見てもおかしい。思春期の男女がひとつ屋根の下で、何かが起きてもおかしくない。三つ子の弟が知ったら発狂する状況だ。


 しかし、その三つ子達のせいであかりは妙に男慣れしていた。傍目から見たあかりは、身長も低く、小動物のように可愛い見た目をしている。しかし、男慣れし過ぎてモテても気付かない。男女の関係にとにかく疎い。警戒心が低い。

 
 そして、総一郎もぽやっとしている。他人から与えられる親切は有り難く受け取りなさいという母の教えの元、他人からの施しに抵抗がない。そして部活男子で恋愛にも疎い。そして現在爆睡中。


 こんな二人に、恋愛的な何かが始まる心配は、今のところ全くない。


 しかし流石の総一郎も、翌朝味噌汁の匂いで目覚め、この状況にフリーズした。



「なんだこれ」