清谷は、幸せそうにクリームソーダを飲むあかりを見て気持ちを立て直す。気を抜けば可愛いと言ってしまいそうで、慌てて自分もストローを吸った。
「清谷くん」
「はい」
「……例えば目の前で、何かに躓いて転んだ人がいたらどうする?」
「それは、勿論助けます」
「そうだよね。私が清谷くんを助けたのも同じだよ。目の前で困っていたから助けたの」
話を掴みきれていない清谷に、あかりは話を続ける。
「特別なことじゃないんだよ。だから、これで私に恩を感じることもないし……今回ごちそうになっちゃったけど。これでもうチャラね」
あかりのまっすぐな視線に、清谷はハッとした。
清谷にとっては、あの日に助けられたことが特別だった。けど、あかりにとってあの出来事は、人として当たり前で。それに対して何の見返りも求めていない。
逆に、こうやってお礼をした清谷が、この先自分に気を遣わないよう心配している。
────優しくて、可愛い。けどそれだけじゃない。
あかりの持つ、人を思いやる懐深い部分に清谷の心は撃ち抜かれ、じんじんと痺れる。人間力の違いに、清谷は打ちのめされた。



