ここは女子高、あかりは違うが、皆が出会いに飢えている。男子校生は黄色い声をあげる人集りの中からキョロキョロと辺りを見回し、丁度横を通ったあかりを見て目を大きくした。



「あの!」
「えっ」


 あかりは、突如人だかりをかき分け、自分の肩をガッシリ掴んだ男子に驚き、目を丸くする。



「あれ……もしかして、あの時の」
「そう、あの時助けてもらった──」
「サラリーマンさん? えっ……こ、コスプレですか?」
「違う!!」



 一見、爽やかな俳優のような見た目の、イケメン学ラン男子は、なんとこの前あかりが助けたサラリーマンだった。サラリーマンが学ラン着てる……。


 コスプレをしてまで待ち伏せをされた……? と、引いているあかりに対して、学ラン男子は必死に否定して学生証を見せてきた。どうやら本当に高校生らしい。大人びた見た目をしているから、サラリーマンに見えたけど違ったようだ。


 あかりの表情から疑いが消えたのを確認すると、学ラン男子は頬を染め視線を彷徨わせた後、下唇をキュッと噛み締め何かを呟く。



「…………ぃ」
「ごめん、なに? 聞こえない」
「小平高一年の清谷と言います……この前の、お礼をさせて下さいっ……」