ツバサくんは、恐ろしいくらい
恋愛に疎くて鈍い。

私達は、高校が別々になっても、
毎日に近いくらいメールしてるし、
電話でも話す。

時々会いに来てくれたり、会いに行ったり。

デートだと冷やかされるような場所に
行く事もある。

それはみんな、ツバサくんが行きたいって
言う場所だ。
私から言った事はない。

言ったらきっと「いいよ」って、
そうなると思うけど。

ツバサくんは私の好きな場所も行きたいところも
喜んで、付き合ってくれると思う。

だけど、それには恋愛感情は絡んでない。

ツバサくんに1番近い私がよく分かる。

ツバサくんは私を女の子としてさえ
見てないかも。

でも今はこれでいいんだ。

友達でいいの。

近くにいられるから。

近くにいたい。

好きだって伝えて距離ができるのは何よりも怖いから。

「じゃあまたね」

そう言ってクラスの前で別れた。

チカは隣の3組だ。

私は2組の教室に入り、
窓際の1番後ろの席に座った。