君に愛を伝えたい

近くにあった公園のベンチに私をおろし、葉月は呼吸を整えた。

「ごめんね、ありがとう葉月。」

「大丈夫。こんなものお易い御用だよ。」

随分と長い距離を走ってきたのに、笑顔でそう流せる葉月には、感謝をしてもしきれない。

「それで、あの人は?」

「多分もういないはず。途中で追うのを諦めてたから。」

それでもここまで走ってきてくれたんだ…

「ほんとにっ、ありがとう。葉月…」

涙腺が緩み、下を向いたままお礼を告げる。

「…ほんとに、最悪。」

低くて小さな声で、葉月は呟いた。

泣きそうなのを堪えて、葉月の方を見る。

「せっかく乙葉に楽しい思いしてほしかったのに、最後の最後でこれかよ。」

葉月が怒っているのは私のお父さんに対してらしい。…私じゃなくてよかった。

「いいのよ、葉月。私はもう十分楽しかった。だから…お家に帰ろう?」

手を差し伸べると、少し迷った顔をした後、私の手を取った。

「…うん、そうだね。」

今度は笑顔で、私たちは帰路に着いた。