先輩の優しさ

美味しさを味わう時間も過ぎていき

お客さんもまばらに増え出した。

飲み物を運ぶ時、明らかにトレーギリギリまで乗せられていて見るからに重そうだった

バランスが崩れないように慎重に持っていったが、最近お試し中の料理を運ぶロボットとぶつかってしまい

私が持っていた飲み物は、
大きな音を立てて落ちていった

幸いな事にもガラスではなくプラスチックのコップだったため割れなかったが
大きな音を立ててしまったのでお客さんが一気にこちらに目を向けた


「大変失礼致しました。引き続きお楽しみください」

店長が素早くフォローを入れてくれたため
お客さんはこちらを気にせずにまた会話を楽しんでいた。

素早く片付けて、私は落とした飲み物名を
たまたま覚えておりもう一度作り直してもらうことをお願いした。

「花井さんちょっと事務所の方来て貰える?」


「はい」



「さっきこぼした時何があったの?」

「すみません周りをよく見てなかったです」

「じゃあ、次からは気をつけてねもう戻っていいよ」

「はい、気を付けます!」

店長にもっと怒られるかと思ったが思い違いだった

それから仕事に戻ったが、それ以降飲み物は避けるようになっていた。

もうトラウマだよ

あの時そこまで言われなかったけど今になってまたネチネチとしつこいくらいにいじってくる店長に若干イラッとしたが私が失敗してこうなったので何も言えない



そうこうして時間が過ぎ上がりの時間になった。

みなとさんも同じ時間に上がりで帰る方向も同じだったので一緒に帰ることになった


どうしよう。
気まずすぎる。

話しかけた方がいいのかなと思い必死に話題を考えていると

「今日大丈夫だった?」

大丈夫だった?なんの事だろ?

「今日なんかありましたっけ?」

「あの後ずっといじられてたみたいだから」


あっ、あの時の事か忘れてた。
帰ったらちゃんとメモしておかないと

「俺さあんな風に言われたらイラッてなってつい言っちゃうからさ」

だから、店長に言われた時に反論したのね。
と頭の中で納得してしまった。


「全然気にしてないですし、というか忘れてました。」

「まあ、それがいいよ」

みなとさん、優しすぎん?

苦手だったけど、苦手じゃなくなっていた。