彼が箱からケーキをだす。
彼はチーズケーキ、私は抹茶ケーキ。

昔からショートケーキやチョコケーキは苦手。

ベットベトに甘いものより、抹茶のような上品な甘さが好きだ。

チョコケーキだって上品だと言われるかもしれないが、甘い以外にどんな良さがあるのか説明してほしい。

やはり私は甘さ控えめの抹茶が好きだ。


「早かったね、30日」


「ずっと寝てましたね」


「...ふふ、ケーキを食べてるところも可愛いなぁ...」


「話題の転換早すぎませんか?」


床に並んで座る。
壁によしかかって、ケーキを食べる。


「あ、そうだ、アキがね―――って、クリームついてるよ」


そう言って彼が私の口の端についていたらしいクリームを指でとって舐める。


「...それで、アキがどうかしたんですか」


「......やっぱ言うの辞める」


「え、なんでですか」


「僕のことは未だにさん付けなのに〜!!」


子供のように頬を膨らます彼の口の端にもまた、チーズケーキの上に乗っているクリームがついていた。




-fin-