桜色の歌と君。

「本題なんだけど。」
「うん。」
「渋谷に大きなCDショップがあるから、そこに行きたいと思ってて。11時からやってるから、待ち合わせもそのくらいでいいのかなって思ってる。」
「うん、それでいいと思う。」
午前中から会えるんだ。うれしさで顔が綻ぶ。
「ハチ公わかる?その前とかで。」
「うん、いいよ。」
「渋谷色々あるし、その後ぶらぶらしてもいいかなって思うんだけど、花咲さん何時まで暇?」
「一日空いてる!」
うれしあのあまり、思わず食い気味に言葉を被せてしまって、恥ずかしさで顔が熱くなった。
宮野くんが小さく笑った声が聞こえて、余計に恥ずかしさが増す。

「じゃあせっかくだし、一日楽しもうか。」
「うん!」
「楽しみだね。」
宮野くんの言葉一つ一つが甘く響いて、胸の内に喜びが滲む。
「うん。楽しみ。」
彼の素直な言葉のおかげで、私の心も柔らかく解れていつも以上に素直になれるんだ。

「じゃあ、そんな感じで。」
「うん。」
電話が終わることに少し寂しさを覚えたけれど、それ以上に会える喜びが大きくて、心が満たされている。

「またね。」
「うん、また。」

数秒の沈黙の後、電話が切れた。

私は余韻に浸るように目を閉じた。

一週間後が待ち遠しい。
何を着て行こう。髪型はどうしよう。
そう思い巡らす時間がとても楽しくて、気が付いたら大分時間は過ぎていたらしく、母親の「ご飯できたよ。」という呼びかけにはっとしてベッドから体を起こした。