飛行機が日本についてすぐ、私は今日から住むアパートへ向かった。

ニューヨークへ行ってから、私も雅も一度も日本へは帰らなかった。
私だけでも帰ろうかと思ったけれど、その間に一日でも雅が帰宅できる日があったら、雅のそばにいたい。そう思ったら日本に戻ることを躊躇させた。

冷静に考えてもそれだけ雅を私はどうしようもなく愛してしまっていたのだろう。

家にいる間に、何もすることがなくて、私は雅に報告をしてから通訳の仕事を家でしていた。
目立った活躍も収入もなくても、これから少しの間は仕事をしなくても暮らしていけるくらいの貯金ができた。本当は何か雅と二人のために使えたらいいと思っていた貯金。

私はその貯金で新しく日本にアパートを借りて、必要最低限の生活用品を買おうと思っている。

立ち止まる時間はもうない。これからアパートで、大家さんとの最終的な契約が待っている。
これだけはどうしてもニューヨークと日本の距離がありすぎて、今日になってしまった。

これからやるべきことはたくさんある。
契約を済ませたら、業者が荷物を運んでくるはずだ。