「碧ーーっ!!」


高校時代、数々の重要な場面でチームを救ってきた碧を思い出す。


遠くて碧の姿はよく見えないけど、たしかに碧がバッターボックスに立っている。


プロ野球のバッターボックスに。


それを実感したとたん、よく分からない涙で視界がぼやける。


しかし、バッターボックスから飛び出した白球を捕らえた瞬間、視界はクリアになった。


1球目はファール。


2球目、3球目はボールを見極める。


そして4球目。


碧の打球がグングン私たちの方へ伸びてくる。


盛り上がるレフトスタンド。


そして─。


ウワァァァァァァ!!!


割れんばかりの拍手の音、メガホンを叩く音、そして太い大歓声。


私のすぐ目の前に吸い込まれていったんだ。


碧のユニフォームを着たちびっ子たちがボールに群がり取り合っている。