てか、可愛いと思うくらいなら、あたしは思われたいけど。
「いや素面だし。なんならエナドリ飲んだから元気」
「やめとけよ。学生のときの先輩が性病で苦しんでた」
「まあそれなりのリスクは背負わなきゃってことでしょ」
手から離れて、足元に置いていた鞄を取る。
社員証を持って椅子をデスクに戻した。
何か言いたげな姿勢で立つ井花。
「そういえばなんで戻ってきたの? 忘れ物?」
「ああ、うん……」
どこか上の空で返事をする。
そんなに衝撃を与えただろうか。いや、知りたくなかったのか、同期のそんな話は。
メニュー