噛み痕にキス


ティッシュケースを差し出され、一枚抜いた。

「人生で、一番好き」
「ガチ恋……」
「がちこ?」
「本物の恋ってこと。で、失恋した?」

すとん、と何かが落ちた。

あたしは失恋したのか。
それで生きるのが嫌になって、仕事まで辞めるのか。

自分は自分で思っているより楽観的に生きていたらしい。

「いつだってそこに居てくれたから……」

寂しい時も、辛い時も。
あたしとは寝れないと元彼氏に言われた時だって。

「もう生きてる意味ない……」
「伊丹の自己評価の低さに昨日から驚いてんだけど」

井花が缶をテーブルに置いた。