噛み痕にキス


それは、同期を使ったあたしも最低だけど。

「じゃあ五万払うから今夜どう」
「いやしないでしょ。五万で店行った方が良いと思うけど」
「そこは五万じゃ安いって言うとこだろ」
「五万じゃ高すぎんの」

あたしに五万を払って身体を重ねる価値はない。そんなのは自分がよく知っていた。

箸を置く。井花は息を吐いた。

「仕事辞めたらどうすんのか、聞いてねーんだわ、まだ」

何故か怒っているように聞こえて、あたしは口を噤む。
仕事を辞めた後のことは、井花には関係ないのに。

「お前、死ぬ気じゃねーよな」

どうしてか、甘えたくなる。