何となく井花の方は向けず、落ちた麺を箸で追う。
しれっと一緒に昼ごはんを食べに来ているが、アレが起こったのは昨夜のこと。
家まで送ってもらったのが今朝のこと。
「え、霊になったか? 生きてるか?」
「生きてる」
「麺が逃げてるけど」
「今追いかけてる最中」
「んじゃ今日は、俺の家で金ロー観ようぜ」
「いや、行かないし、なんで急に」
麺を漸く啜る。それから井花の方を見た。
「急に?」
井花はこちらを見ていなかった。
まぜそばに視線をやったまま、尋ね返す。
あたしは勝手に、そんなことに、泣きそうになる。



