噛み痕にキス


もう要らないけど、とぼんやり見ていると、井花が飲み干した。

「寝るか」

同じベッドに横たわる。

仰向けに寝ていると、隣から肩を掴まれて、ずるずると抱き寄せられる。最終的に横を向いて、井花の胸におさまった。

やっぱり、これ好きかも。

他のどこでも、この安堵は得られない気がした。いや、分からないけど。もしかして風俗の男がそうしても、思ったかもしれないけれど。

でも、今のあたしにはこれしかない。これが良い。

知らなければ良かったな、という思いは同時に、知られたという喜びに繋がる。