噛み痕にキス


血の味がする。
その指を掴まれ、口から手が離れる。

「生きてるか?」

この痛みは、生きているからか。

「……な、んとか」
「うわ、これは」

手の甲から血が滲んでいた。井花が手の甲を指で撫でる。

「痛い?」

それは何処の痛みか。
は、と息を吐く。

「……いたい」
「ま、大丈夫になるさ」
「軽い……」
「そういうもんだって」

ぱた、と水滴が胸元に落ちる。漸く井花に焦点が合い、汗がすごいことが分かった。

それを見て、自分の痛みを一瞬忘れるくらい。

「え、井花、大丈夫……?」

あたしは焦って上体を起こそうとして、井花に肩を押される。