噛み痕にキス


質問が投げられた。

「いないけど」
「ん、確かに。一人っ子っぽい」
「よく言われる。我儘で一人でどこにでも行くから」

可愛げがない、と言われた。
思い出して笑った。

猫みたく顎を擽られる。身を捩ると、背中に腕を回された。

「前の彼氏と別れたのいつだっけ」

井花が自分のことのように尋ねる。話したっけ、話してないっけ。いや、話した気もする。

「忘れた」
「だよな。俺も覚えてねーわ」

ぐっと身体が近付いた。
思っていたよりずっと井花の身体は大きくて、抱きしめられただけで安堵があった。