頼んだのは自分だけど、こんなのを請け負う井花も難儀だなと思う。
「……いくらにする?」
「え、なにが」
「相場わかんないけど。五万あれば足りる?」
「別に苦学生じゃねーんですけど……」
「でも大事でしょ。理由って必要でしょう」
あたしは金を払ったから抱いてもらえた。
井花は金を貰ったから抱いた。
リモコンを掴んでいた手が、あたしの髪先に触れてくるくると弄る。
それから、顎を掴まれて横を向かされた。
驚き、固まる。井花がこちらを射抜く。瞳の奥を覗かれそうで、暴かれそうで、怖い。
「伊丹って兄弟いんの?」



