井花の家は、マンションの一室だった。
たぶんあたしの家と同じくらいの家賃。それは同じくらいの給料を貰ってるんだから普通のことだ。
ただあたしの部屋より綺麗だった。
急に来たのに整然としている。あたしの家の寝室の隅にはグッズの祭壇ができて溢れているくらいなのに、井花の家は物が少ない。
何より、井花の匂いがする。
リビングのローテーブルの横にぺたりと座り、あたしはおにぎりを頬張る。角を挟んだ隣に井花が座ってカップ麺とお弁当を食べていた。
「伊丹、よくそれで足りるのな」
「井花こそどんだけ食べんの」
各々、思っていたことを口にした。



