噛み痕にキス


隣を歩く井花は何も言わない。これから2週間、気まずい顔をされる想像をすると、先程安易な質問をした自分を殴りたくなる。

良い関係だったのに、壊してしまった。

「あたし、コンビニ寄ってくから」

同じ路線で同じ方向だ。このまま電車に乗るのはお互いの為に良くないと思って、駅前のコンビニへ行こうとした。

ぱし、と手首を掴まれる。

「伊丹はどうなんだよ」

尋ねられ、止まる。

「どうって?」
「……店と俺、どっちが良い、とか」

暗いが、井花の目元が赤いのが分かった。
何が言いたいのだろう、とも思った。