こういう類の話を井花が言いふらすのかどうかは知らないけれど、2週間くらいなら噂がたっても耐えられるだろう。 「井花を巻き込むつもりはないし、抱いてなんて言わないし。ちょっと参考程度にきいてみただけ」 「予定もないって分かんないだろ。彼氏作れば?」 「その予定は、ないというか」 死ぬまでに一度くらいは、と思ったというか。 濁して、フロアを出た。 途中で見回りの人に会って、挨拶をする。 正面玄関は勿論閉まっていて、裏口から出た。 外は当たり前に暗い。夏の夜の湿気った風が髪を靡かせる。