私は、親の仕事の都合で、ほぼ毎年と言っていいほど転校を繰り返していた。

決して仲良し家族というわけではなかったが、父は昔気質だから、単身赴任で家事をしたくなかったようだし、母は母で、やはり昔の人だから黙って父の言う通りにしていた感じだ。

私は、昔も今も、すぐに人と馴染めるような性格ではない。

それに、いつか母が言っていた。

「友達作っても意味ないわよ。どうせまたすぐ転校になるんだし、クラスメイトとは深く付き合わないほうがいいと思うけど」

未だ幼い子供に、つらい現実を突き付けられたのだが、私はよく本を読んでいたので、親しい人との別れが悲しいのは、なんとなくわかっていた。

だから、敢えて孤立することを選んだ。