恋人のふりをすることになって数日後のこと。

栗原くんは、少し照れながら、

「これ、よかったらもらってくれないかな…」

ペアリングの片割れを私にくれた。

なんだか、まさに恋人って感じだ…。

既に栗原くんはそのリングをしていたので、私も常に身に付けることにした。

そして、

「恋人ってことだし…お互いに特別な呼び方したいんだけど、いい?」

そう言われて、私は頷いた。

「えっと、そうだな…ミーナって呼んでもいいかな?」

そんな呼び方されるのは初めてだから、くすぐったかった。

「いいよ。じゃあ私は…ユタって呼んでいい?」

彼もまた照れたように頷いた。

「ミーナ」

「ユタ」

ただ相手を呼ぶだけで、なんで二人してこんなに照れているのだろう?