小学生の頃、栗原くんが「妾の子」と言われていたのは事実だという。

父親から認知はされているものの、

「こんなこと言うと、引くかもしれないけど…俺は両親のこと、心底幻滅してるんだ。父親が最低なのは勿論のこと、母親にしたって妻子ある男と不倫したわけだから」

それが原因で、男女の色恋に対して、昔から嫌悪感があるとのこと。

驚いたのは、そのお父様というのが、規模の大きい会社の社長だという。

お父様と本妻の間には、栗原くんの腹違いのお姉さんにあたる人がいるが、彼女は思春期の頃から、お洒落と贅沢と男の子にしか興味がなく、栗原くんに言わせれば「聡明さの欠片もない、すっからかんの女」だとか。

そのことは、お父様を筆頭に誰もが認めていて、お姉さんや、お姉さんに群がる男には会社を継がせる気はなく、会社の後継者は優等生の栗原くんにしたいと言われている。

そして、結婚相手も親の決めた相手、つまりは政略結婚という魔の手が迫ってきている…。