「新しい友だちの知奈ちゃん。あ、でも知奈ちゃんは私のこと友達とは思ってないのかも。さっき、誰って聞いてきたし」


雪ちゃんの声に喧がある。


「ち、違うの雪ちゃん。さっきはなんだか声が違って聞こえたから」


私は慌てて弁解する。


「私声優を目指しているから色々な声の練習をしているの。さっきは知奈ちゃんを驚かせようとしてハスキーな声を出したんだけど、まさか誰って聞かれるとは思わなかった」


「せ、声優!? それってすごいね! いろんな声が出せるなんて!」


更に慌ててそう言うと、雪ちゃんは黙り込んでしまった。


今どんな顔を私へ向けているのか知りたかったけれど、雪ちゃんの顔を見ても表情を読み取ることはできなかった。


「そんなお世辞、いらないから」


雪ちゃんは私へ冷たく言うと、トイレの個室へ入ってしまったのだった。