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あんなことをされたばかりだから、化学の授業は正直あまり頭に入らなかった。


景子ちゃんが隣にいれば教えてもらえるかもしれないのにと内心考えてしまう。


先生もついていけていない生徒がいることに気がついていないのか、どんどん先にすすめてしまい、私は結局ノートをとるだけであっと今に1時間が終わってしまっていた。


少しのわだかまりが心の中にあるが、これで今日はもうA組に着て授業をする必要はなくなるのだ。


そう思うと晴れやかな気分になっている自分がいた。


そんな自分はやっぱり普通の教室にはあわかなかったのだとわかり、落ち込んでしまいそうになる。


とぼとぼと化学室を出て特別学級へ向かっていると、不意に足を引っ掛けられて転倒していた。


教科書やノートは廊下に散らばり、とっさに伸ばして両手がジンジンとしびれている。


「ダッセー」


遠慮のない笑い声が聞こえてきて顔を上げると、そこにはクラスメートの男子が立っていた。