彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない

☆☆☆

「知奈ちゃん、お久しぶりですね」


久しぶりに特別学級へ向かうと、景子ちゃんの固い挨拶が待っていた。


「久しぶりだね景子ちゃん」


「はい、久しぶりです」


「どうしたんだよお前、クラスに戻れたんじゃないのかよ」


心配そうな声をかけてきたのはキンパだ。


相変わらずの金髪で、上の方だけ少し黒くなってきている。


今ではプリン頭だ。


「ちょっとね」


私は誤魔化し笑いを浮かべて頭をかく。


「目、真っ赤。泣いたんですか?」


「うん、ちょっとだけね」


景子ちゃんに指摘されて私は息を吐き出しながら答えた。


「クラスでなにかあったのかよ」


「違うのキンパ。クラスでは順調なんだけど、ちょっと別で問題があって……」


でも失恋しただなんて言えない。


失恋の傷を隠すためにここへ逃げてきたなんてことも、絶対に言えない。


「はい、じゃあ授業の続きするぞー」


大田先生の声が響き渡り、私は景子ちゃんの隣の席に座ったのだった。