人の顔を見ても、その顔を認識することができない病気。


以外にも患者数は多く、そして自分が失顔症だと気が付かないまま生活をしている人もいるという。


それを聞いたとき、私は半分怖くなって、そして半分はホッとしていた。


自分が病気だと気が付かないまま生活しているということは、生活に支障が出にくいということだと思ったからだった。


だけど先生は両親を呼び出して、私のこれからについて説明をしたらしい。


治療方針とか、今後の学校生活とか。


ある日、両親は私の病室へやってきて「小学校でのお友達のことは認識しているのよね?」と質問してきた。


私は大きく頷く。


病室にはクラスメートたちが作ってくれた千羽鶴とか、寄せ書きが飾られている。


それにみんな何度も何度もお見舞いに来てくれていた。


誰が誰なのか、私にはすぐにわかって会話に困るようなこともなかった。