花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!



「やっと事の重大さに気付いたようね。しっかり反省するというのなら、私が力を貸しましょう」


縋るようにエミリーが視線を上げると同時に、ロレッタの表情から陰湿さが消え失せる。


「己の未来を国と次期大聖女に捧げると誓うなら、国王夫妻には私からあなたの事情を説明して分かってもらえるよう力を尽くします。爵位の剥奪も私が反対の意を唱え、阻止しましょう」


国はともかく、次期大聖女だろうエスメラルダとはあまり関わりたくないのが本音だが、それよりも家族に迷惑をかけることの方が耐えられない。

エミリーはこくりと頷くと、ロレッタが満足げに「よろしい」と応えた。


「国王夫妻の怒りが収まるまで、私が建てた修道院で身を律し生活なさい」

「修道院」

「えぇ、隣国ユギアックの北東に地にあるロレッタ修道院です。厳しい環境の中で身を置き、反省の心を態度や行動で示し続ければ、国王夫妻もやがてお許し下さるわ。そうなればあなたは両親の元に帰れます。すべて元通りになるのです」


ユギアック北東部は極寒の地と呼ばれている。

修行を行う人々が立ち寄りこそすれ、一般の人々が好んで生活するような場所ではないと聞いている。