この国は今、宗教のことで多くの国と争っている。最初は国王同士の口論が武力行使に発展し、国民が犠牲になっているのだ。

この国で信仰されている宗教は、一人の神がこの世の全てを創り上げ、国王は神の化身として崇めるといったもの。この宗教は多くの国で信仰されていたのだが、ある国が「国王も民と同じ人間なのでは?」という考えの新しい宗派を作り出し、それにいくつかの国が賛成して宗派を変えた。それにこの国は怒り、宣戦布告を叩き付けたのだ。

宗教に関する戦いは世界を巻き込み、今は世界中が互いに憎み合う時代となっている。しかし、誰もこの争いの運命を止めようと言うものはいなかった。ジャンヌ以外は。

「こんなのおかしい!宗教が違っても私たちは同じ人間よ。互いに認め合うことが必要でしょ?こんな争い、永遠に終わらない」

ジャンヌが街中でそう言った時、アーサーは「やめろ。余計なことをするな」と言った。国王に睨まれれば家族もろとも殺される可能性がある。それを避けたかったのだ。